いま、無垢フローリングが選ばれ始めている理由と選択方法を詳しく解説
様々な種類のフローリングが世の中には存在していますが、大きく分けると2種類存在します。
それは複合フローリングと無垢フローリングです。
これから住宅を新築される、或いはリフォームされる予定の方々は是非本記事をお読みいただき、今後の参考にして頂ければと思います。
この記事を読んだ後は、どの種類のフローリングを使用すれば良いか迷うことはなくなります。
フローリングの種類について
複合フローリング
世の中で使用されているフローリングの多くは積層タイプのもので、みなさまが目にする大半のフローリングはこのタイプで、賃貸住宅はほぼ100%に近いぐらいこのタイプのものです。なぜなら、圧倒的に安価だからです。
木材を2~3mm程度に薄くスライスしたものを何枚も重ね、重ね合わせた部分に接着剤を塗布して造られます。
メリットは圧倒的に安価という点です。だからこそ、賃貸など投資向けにぴったりなのです。
より安く造り、より高く貸し出す。市場の鉄則といったところでしょうか、感心しませんが。
他には、比較的掃除しやすい点です。
表面にUV或いはウレタン塗装が行われており、汚れなどが内部に浸透しにくいからです。
デメリットとしては、冬季はかなり冷たく感じる点です。
理由はUV塗装が表面に塗られているからで、熱伝導率が高いため、足の裏から体温を奪ってしまいます。
また、幅30cm程度で一枚に加工されていますが、
ジョイント部分はそのUVやウレタン塗装が行われておらず、
そのジョイント部からこぼした水などが内部に進入し劣化を促進させます。
水拭きを固く禁じている理由がここにあります。
このUV塗装等については後述します。
接着剤を多用する弊害として、このように長期的には劣化が早い建材と言えます。
無垢フローリング
無垢フローリングは人によって無垢の解釈が異なっていますので、注意が必要です。
大別すると、OPC(one piece)、UNI(united)、FJL(Finger Joint Lamination)の3種類が存在し、
人によりこの全てを無垢フローリングと認識している人もいれば、
OPCのみを無垢フローリングと捉えている人もいるということです。
この辺についても後述します。
OPC
OPCはone pieceの略が示すように、一枚板ということです。
敢えてこういう呼び方をするということは、一枚ではない板も無垢板とされているということです。
英語圏では、solidとも呼ばれています。
本質的にはこれのみが無垢フローリングと言うべきです。
長さは概ね910mm~1820mm程度が多く、樹種によっては300mmからのものもあり、針葉樹系の杉や檜、松などのパイン系の3m以上の長物まで様々存在します。
短い樹種は概ね広葉樹系で、例えば国産だと栗、楢や樺、
輸入材であればチーク、メイプル、ウォルナットなどです。
UNI(ユニ)
次にUNI(ユニ)です。Unitedの略からも分かるように、結合させている板ということです。
無垢フローリング系の板幅は90mm~150mmで、長さ方向に30cm程度の板を接着剤で結合させて、その多くは1820mmの長さにしているものです。
資源量の問題や短い材も有効活用している点は評価できますが、接着剤を使用している点が気になります。
FJL
続いてはFJLです。Finger Joint Laminationの略です。
Finger jointとは人の手の5本指のようにギザギザとした面同士を突き合わせて接着剤で繋げることを指します。
ギザギザさせることで、接着面を増やす方法です。UNIの様に主に長さ方向に接着されます。
Laminationは貼り合わせることを指し、幅方向を接着剤で結合させます。
タテヨコ共に短い材を接着剤でくっつけたものとイメージすると分かり易いと思います。
UNIタイプも実はfinger jointされています。
こちらも資源を有効活用している点は評価できますが、接着剤をより多用していることになります。
接着剤を問題にしている理由は、耐久性が低いことに加えて、地球環境に悪影響を与えるからです。
以下、OPCを「無垢フローリング」として、
OPC、UNI、FJLをまとめている場合を「無垢フローリング系」として定義して記載します。
無垢フローリング系のメリットとデメリット
無垢フローリング系の特徴としては、「木」本来の風合いを感じることができ、経年変化を楽しむことができます。
また、冬に素足の状態でも冷たさを感じにくいことです。
木の繊維の間に多くの動かない空気を内包しているため、ぬくもりを感じることができるからです。
ダウンジャケットに使用される羽毛が多くの空気を保持していることに近いイメージです。
樹種によっても多少の違いがあります。
杉や桧などの針葉樹は内部に空気を多く含むため、より多くのぬくもりを感じやすくなります。
しかし、空気を多く含む反面、衝撃で傷が付きやすかったり、凹みやすいと言えます。
広葉樹系は繊維が密実で針葉樹に比べ空気を多く含んでいないため、針葉樹系に比べぬくもりという点で劣ります。
しかし、繊維が詰まっていることは反面で傷が付きにくいとも言えます。
無垢フローリング系全体のデメリットとしては、複合フローリングより高価であると言えます。
実はフローリングに全く触れていないという事実
ここで、塗装について触れます。
フローリングについて語っているんじゃないの?
と思われたかもしれませんが、実はこの塗装が重要です。
フローリングの表面は大抵塗装が行われています。UV或いはウレタン塗装と言われるものです。
透明の塗膜が施されています。
フローリングに限らずテーブルや椅子などもこの塗装が行われています。
テカテカ光っていれば、ほぼUVかウレタン塗装がなされていると思って差し支えありません。
ウレタン塗装には光沢のあるものから、光沢がなく塗装されているか判断しにくい仕上げまで様々です。かつては光沢があるものが好まれ、和室の床の間の部材など、やけにテカテカ光っていると思われた方もいるかと思いますが、それがこのウレタン塗装によるものです。
UV塗装とウレタン塗装は共に透明なため、見た目には区別がつきにくいですが、区別する必要もありません。
多少の強度や施工方法が違うだけで特徴もあまりかわらないからです。
これらの塗装を行うことで、実はフローリングには実は全く触れていないとう事実があります。
板の表面が塗膜で覆われているからです。
ということは、無垢フローリング系を選択したとしてもUV塗装等が行われていたとしたら、無垢としての特徴を全く感じることができないということです。
しかも、前述したように熱伝導率が高いため特に冬場などは足の裏から体温を奪い体が冷えてしまい、引いては健康に悪影響を与えてしまいます。
この事実を知らない、或いは関心を持っていない方々が多いのが現状です。
更に、この冷たさを改善させるため導入されているのが、「床暖房」です。
マッチポンプとは正にこのことではないでしょうか。
OPC、UNI,FJL共にUV塗装が行われているものが大半です。
UV塗装が為されていることで、掃除やメンテナンス性が向上します。
果たしてUV塗装が無垢の良い点を引き出しているのでしょうか?
無垢フローリング系を選択したとしてもUV塗装が行われているものだとしたら、
実際には触れていない訳で、見た目だけならば積層の安価な物を選んだ方がよいのではと言いたくなります。
無垢フローリング系にはUV塗装以外は主に自然塗料が使用されています。
塗膜を張っていないため、木に直に触れることができます。
有名なところではドイツ製のリボスやオスモです。
国内産では、蜜蝋ワックスやシオン社のものが挙げられます。
塗装を行うことで汚れを吸い込みづらくなりますが、半年から1年程度毎に塗らないと徐々に効果が落ちてくるという面があります。
無垢フローリング系で一番厄介とされているのが、このメンテナンス性にあります。
特に、針葉樹系のパインなどの白木は汚れが目立ちやすくなり、
濃い色合いの樹種を選択することで目立ちにくくするという考え方もあります。
選択する際に抑えるべきポイント
全てにおいて無垢フローリングが良いとは限りません。
それは、やはり清掃や手入れを行わないと汚れやすいという点があるからです。
対策として例えば、キッチンなどの水周りでは濡れやすいことや、油が飛ぶことも想定し、
フローリングではなく、CF(クッションフロア)と言われるリノリウム製、
簡単に言うとゴムの様な樹脂製にすることで、汚れが沈殿せず、清掃に向いた建材を使う方法もあります。
または、UV塗装がされている複合フローリングという選択もあります。
しかし、接合部分から水が下に浸透するため長期的には劣化を招く懸念があります。
このように、使用する場所で使い分けるという選択は十分にあり得るということです。
他にも、例えばこういう使い方はどうでしょうか。
2階の各居室である、寝室や子供部屋に無垢フローリングを使う。
寝室ではスリッパや、靴下を脱いでいるシーンも多いことと思われます。
そこでは、よりぬくもりのある無垢フローリングを使うことで、居住性を向上させることができます。
個室であれば、多少の傷や汚れも許容できるのではないでしょうか。
また、逆にリビングなどの来客がある空間に敢えて無垢フローリングを採用する。
この場合、色合いが濃いものが適しています。それは汚れが目立ちにくいからです。
起きている間に一番多くの時間を過ごすリビングだからこそ無垢フローリングを使用し、
四季のうつろいと共に経年変化を楽しむことこそ上質な喜びと言えるのではないでしょうか。
徐々に、色合いが増していくことが無垢材の良い点です。
広葉樹系は比較的色合いが濃く汚れが目立ちにくく、針葉樹に比べ固いため傷もつきにくいという特徴があります。
特に世界3大銘木のひとつであるミャンマーチークは色合いも深く、経年変化と共に更に風格が増していきます。
更に、ミャンマーチークは独特の油分をもっているため汚れが付着しにくいという利点もあります。他にはない特徴です。
まとめ
この記事を読む前から、無垢フローリング系を採用しようと考えていた方であれば、
UV塗装されているものを選ぶ理由は全くないということがご理解いただけたのではないでしょうか。
その意味でUNIやFJLは選択肢から除外され、OPCの無垢フローリングが唯一の選択肢になります。
その場合、無塗装か自然塗料のものに限ります。
UNI等が除外される理由は接着剤が使用されているため、UV塗装でなければジョイント部を水分から守ることができないからでしたね。
そして、複合フローリングと無垢フローリングの選択に迷われている方にとってのネックはコストパフォーマンスの問題だと思います。
その場合塗装が選択のポイントになります。
無垢フローリングはそもそもUV塗装である必要がないので、コスパ的な見地からはウレタン塗装が標準の複合フローリングになります。
筆者であれば、断然無垢フローリングをお勧めします。
なぜなら、これからはサステナブル・持続性の時代です。
更にSDGsが様々な方面からも言われ始めてもいます。
接着剤やUV塗装など地球環境の悪化を招くようなものを使用していること自体時代の流れから逸脱することだからです。
次代を担う子供たちが活躍する環境を用意することこそが
今を生きる我々の使命なのではないでしょうか?
徐々にではありますが、無垢フローリングの比率が増えています。
市場規模が大きくなっているということは、
徐々に一番のデメリットとされる汚れなどへのメンテナンス方法が新たに生み出され、
よりその流れが加速されることでしょう。市場の力学から当然の流れと言えます。
如何でしょうか。これまで抱いていた無垢フローリングへのイメージが変わったのではないでしょうか。